
今回は、最近のDIYで活躍の場面が多い「電動トリマー」の使い方のコツを紹介します。
できれば先にトリマーの基本的な部分や仕組みを説明した方がよいのですが、基本編については別の機会に紹介します。
コツといっても実際にやることはかなりシンプルですが、それを知ることで仕上がりにかなり差が出てくると思います。
ちなみに私が使っているのは、ベストセラーの「京セラ電動トリマーMTR-42」というモデルになります。
このトリマーはDIYモデルとも呼ばれ、木工初心者のトリマー入門機としても知られています。
私もトリマーでなければできない加工をするのが目的で、DIYを始めてすぐにこのトリマーを入手しました。
実際に使ってみると、加工の種類や仕上がりはそれなりに満足できますが、性能面にクセがあるので使いこなすにはコツが必要だなと思わせてくれる電動工具です。
それでは実際の作業風景とともにコツを説明していきます。
目次
- 墨線に合わせる際のコツ
- 端から少しずらして削り始める
- トリマーは基本的に「押して削る」
- 段階的に掘り下げる
- ハイトゲージがあるとビットの長さを測れる
- ビットの左側で削る意識を持つ
- 直線ガイドは右側に装着する
- 溝を掘り終わったら、手前に戻して抜く
- まとめ
墨線に合わせる際のコツ

トリマーで溝を掘る場合は、上の写真のような「直線ガイド」を使います。
材料の側面にガイドを合わせてそのまま動かすことで、一定の位置に直線的な溝を掘ることができます。
ただし、トリマーとガイドを墨線に合わせてセットする際に、どこを基準にするのかを理解しておかないと、墨線からズレた位置でスタートしてしまいます。

上の写真を見てもらうと、ストレートビットの刃を墨線に合わせているのがわかるかと思います。

(画像拡大)
これは、ビットを手で回して刃を墨線に合わせないと、微妙にズレた位置からスタートしてしまうということになります。

上の写真は刃を横にしていないので、ビットの軸が墨線から数ミリ離れたように見えます。

(画像拡大)
この状態でビットの軸を墨に合わせてしまうと、実際の刃は軸よりも飛び出しているので、墨線の外側を削ってしまいます。
例えばストレートビットだと、太さによって片刃と両刃がありますが、どちらも墨線に対して刃を合わせる必要があります。
特に片刃だと「合わせる位置」がイメージしやすいかもしれません。

上の図を見ると、刃の位置と軸の直径では寸法が変わるのが分かると思います。
軸で合わせてしまうと、刃の分だけ削りすぎることになります。
ですから、墨線に対しては「刃で合わせる」ということをまずは覚えておきます。
端から少しずらして削り始める

墨線にトリマービットを合わせていざ溝を掘るとします。
この際も注意ポイントがあります。
ビットの種類にも寄りますが、ストレートビットだと真下に掘り下げる能力はあまり高くありません。一般的なドリルビットのように真下に向かってグングン切削はできないと思っていた方がいいです。
トリマービットはどちらかというと、水平移動で削りながら少しずつ掘り下げていくイメージです。
なので、いきなり端の墨線ギリギリで切削をスタートしてしまうと、なかなかビットが下がらなくて、その部分が焦げる場合があります。
これを回避するには、上の写真のようにまずは墨線から少し離れた位置にビットを下ろします。

そして手前の墨線に向かって少しだけ本体を引っ張ります。
こうすることで、焦げやスタート時のブレを防ぐことができます。
このスタート時のブレですが、私が使っている電動トリマーの特徴として、始動時に本体が結構ブレる現象が起こります。
ソフトスタート仕様ではないので、いきなり「グン」と強いトルクがかかるからです。
その際に材料に押し当てた状態だと、始動時の衝撃で刃が食い込んだり墨からズレてしまうことがあります。
このトラブルを回避するには、材料から少し離してスイッチを入れ、回転が安定してから材に当てるようにします。
特にコースターなどを削る場合は、材に当てた状態でスイッチを入れると、始動時のブレで思いもよらない傷がつく場合があるので注意が必要です。

上の写真は自分用に作ったコースターですが、右上の方に薄っすらとトリマーの傷が残っています。
これが始動時のブレで付いた傷です。
横方向だけでなく、深さに対してもブレによる注意が必要です。
この問題点を簡単に解決してくれるのが、プロ機と呼ばれる上位機種です。
プロ機は、ソフトスタート機能やボディの剛性面、トルクの安定、回転数のコントロール機能などを含め、初心者がぶつかる壁を最初から取り払った状態で使うことができます。
私も次はこのモデルを使うと思います。
プロ機であれば、間違いなく1ランク上の加工と作品が生まれる確信が持てるからです。
もしこれからDIYでトリマーを使ってみたいと思う方は、予算の関係もありますが遠回りせずに最初から上位機種を使うことをおすすめします。
宝の持ち腐れにはならないはずです。
トリマーは基本的に「押して削る」

こうした溝を掘る場合は、基本的にビットが下を向いています。
そしてこの時のトリマービットの回転方向は時計回りです。
電動ドライバーやインパクトと同じ回転方向です。
この場合、押して削ることにより安定した操作が可能となります。
押して削るというのは、手前から奥に向かってトリマーを水平に動かす意味になります。
これをプッシュカットとも言います。
逆にトリマーを自分の方に引いて使うと、本体のコントロールが難しくなり、バリが出てしまいます。
なので、本体を手に持ってビットを下に向けて使う場合は基本的に「押して削る」ということを覚えておく必要があります。
ただし、先ほどのように手前の溝の端に合わせたい場合は、例外的に少しだけ引くことで、端にピッタリ合わせて削ることができます。
また、溝加工ではなく面取りなどをする際に、材料の側面を押して削っていった最後に小口の部分がある場合は、そのまま押し切ると小口が割れてしまうことがあります。

そういった場合は、上の図のように逆に小口側からトリマーを入れて手前に引くことで、小口割れを防ぐ方法もあります。
この辺りは練習や経験によってわかるようになるはずです。
段階的に掘り下げる

これは一枚板の平面出しの際もそうですが、トリマーで材料を削る場合は一回で深く削ろうとしないことが大切です。
私が使っている機種の性能もあるかもしれませんが、あまり強い負荷がかかるとトリマーの刃が横に食い込んだりブレたりします。
切削面を綺麗に仕上げるためには、本体がスムーズに動くことが重要なので、ビットや材料の種類にも寄りますが2~3mm程度を目安に段階的に掘り下げていくことをおすすめします。
ちなみに私が今回掘った溝ですが、深さが約15mm欲しかったので、5段階ほどビットの長さを変えて段階的に加工しています。
ハイトゲージがあるとビットの長さを測れる

上の写真の治具は、ハイトゲージと呼ばれる「高さを測る定規」になります。
これはもちろん自作したものですが、材質と仕組みにやや改善点が残る治具になります。まず杉の赤身で作ったのは失敗でした。広葉樹の堅い木がいいと思います。

ハイトゲージの軸に目盛りが付いているので、先に寸法を決めてからビットの長さなどを合わせることができます。
丸ノコの刃などもこれで高さを測れます。
この治具は、高さを固定するためのビスの位置が失敗しているので、そこを改善したものを今度作った際に詳しく紹介したいと思います。
ビットの左側で削る意識を持つ

先ほど「押して削る」という説明をしましたが、さらにもう一つコツがあって、それが「ビットの左側で削る」ということです。
これはビットの回転方向の特性になりますが、押して削る場合は左側の加工面がきれいになるからです。
この際、右側はバリが出たり、きれいな直線にならないことがあります。
先ほどの例で行くと墨線に刃を合わせたのも左側なので、左を基準にして押して削ると覚えておきたいです。

また上の図で言うと、引く際に右側を意識して合わせることができれば、向かって右側の切削面も綺麗な状態にはなります。
ただ、そういった使い方は慣れが必要なので、今回は押して使うということと、左側で削る意識を持つことをおすすめします。
これについては原理や意味を考えるよりも、パターンとして「この場合はこう」と覚えておくとよいかと思います。
私もたまにこんがらがることがありますから。
ちなみにトリマーテーブルにトリマー本体をセットして使う場合は、今度は材料を動かすことになるので、また違った覚え方をする必要があります。
ただトリマーテーブルの使い方はとても簡単です。
これについては今後紹介します。
直線ガイドは右側に装着する

ビットの左側を墨線に合わせて削って行くということは、直線ガイドは右側にあったほうが望ましいです。
そうすることで、それ以上左に行き過ぎることがないので、墨線通りの加工が行えます。
また、ビットが細くて1回の切削で溝の幅が削り切れない場合は、材料を180度回して同じように左側の墨線に合わせて削ることで、望みの寸法の溝を綺麗に加工することができます。
ちなみに直線ガイドは本体に対してこの位置にしか取付できないので、これまで説明した加工方法だと本体の向きも必然的に上の写真のようになります。
電源コードが右側に出ているのが特徴ですね。コードも右側に突き出ているので、作業の邪魔になりにくいです。
直線ガイドの遊びをなくす

「ちょっと遊びがあるな」
溝を掘っている最中に何度か気になりました。
木の繊維の状態にも寄りますが、たまに大きな負荷がかかる場合があって、その際にトリマーがブレることがありました。

上の写真に写っていますが、段階的に掘り下げていく際の「段」が右側面についています。
直線ガイドでしっかり押し付けているのにこれは不思議だなと思っていました。
そこで直線ガイドをじっくり観察してみると、わずかな遊びがあったことに気付きました。

その原因が上の写真に写っている「小さなワッシャー」です。
座金とも言いますが、純正の黒いワッシャーが小さいため、わずかな遊びがあったようです。
そこで一回り大きなワッシャーに変えてみました。

実際に加工してみると、遊びがほとんどなくなったことで綺麗に溝を掘ることができました。
今まではあまり気づきませんでしたが、特にここ最近の理論と経験によって「違和感」を持てるようになったのかと思います。

上の写真がワッシャーを交換した状態です。
この機種を使っている方はお試しください。
溝を掘り終わったら、手前に戻して抜く

トリマーはかなりの速度で回転しているので、片手で持つと意外とブレることがあります。
特に空中で持つ場合は、本体のブレを実感できます。
このため、溝などを掘り終えた際にそのまま上にビットを引き抜くと、思わぬブレによって加工面に傷がつく場合があります。
それを防ぐには、奥まで加工が終わったら、少し手前にトリマーを引いてから抜くようにします。
こうすることで、奥側の加工面を傷つけるリスクを減らすことができます。
また、溝の加工で奥まで削り終えたら、そのままスイッチを切ることもできますが、これはあまりおすすめできません。
これも機種の特性かもしれませんが、ビットの回転速度が変わると、本体がブレることがあります。
つまり溝加工が終わってそのままの位置でスイッチを切ると、ブレが起きて必要のない傷がつく可能性があるのです。
なので私は少し手前に戻して引き抜くことをおすすめします。
ちなみにこの京セラのモデルはスイッチOFFによるブレーキ機能はついていないので、惰性でしばらくビットが回転します。プロ機もブレーキ機能はついていないようです。
まとめ

今回は以上になりますが、トリマーは簡単で便利だけど意外と奥が深いツールだと思います。そして仕上げ面を正確に綺麗に加工するには、それなりの知識と技術を必要とします。
またトリマーがなければできない加工もありますし、持っていればDIYの幅がかなり広がります。
私の場合だと、面取りで丸みのある加工をしたり、コースターを作る際もトリマーを使っています。
他にもドリルで穴を開けて「長穴加工」をする場合もトリマーを使いますね。
また板の厚みを整えたり、蝶番用の凹みを作ったりと活躍する場面は数え切れません。



木工DIYをやる方であれば1台持っておくことをおすすめします。
今回のコツをまとめると、
- 墨線に合わせる際のコツ
- 端から少しずらして削り始める
- 基本的に押して削る
- 段階的に掘り下げる
- ビットの左側で削る
- 直線ガイドは右側に装着する
- 溝を掘り終えたら少し手前に戻してから引き抜く
このような内容でお伝えしました。
それでは最後まで読んでくださりありがとうございました。
トリマーについては基本編などを含め、今後も詳しい内容を紹介してまいります。
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